ウォーレン・バフェット ウォッチャー

"投資の神様"と名高いウォーレン・バフェット氏をウォッチするブログ。同氏がCEOを務めるバークシャー・ハサウェイ社の動向と関連する情報をフォローする。

バークシャー・ハサウェイ社の株の購入方法

「ウォーレン・バフェットという伝説の投資家の存在は知っているけど、どうすれば彼に自分のお金を増やしてもらえるんでしょうか?」


「ウォーレン・バフェットに運用を任せたいんだけど、そんなこと出来るのかな?」


友人からこんな質問をよく受けます。ウォーレン・バフェットというビル・ゲイツの次くらいにお金持ちである人の存在は知っているけれど、どうすれば彼に自分のお金を増やしてもらえるかはわからない、そもそも彼に自分のお金を増やしてもらえるという発想が湧かない方は意外と多くいらっしゃいます。


こんな方々に私は「ウォーレン・バフェットが社長を務めるバークシャー・ハサウェイという会社の株を買えば、彼と同じ資産増減率を享受出来ますよ」と答えています(※バフェットの個人資産の99%はバークシャーの株式です)。


"増減率"と説明しているのは、万が一、アメリカがリーマン・ショック並の景気後退局面を迎えたり、ハリケーン・カトリーナ並の大型自然災害で甚大なる被害が出た際に保険会社であるバークシャーが多大なる保険金を支払うことになった際に株価が下がり、その友人から非難されるのを防ぐ為です笑。


バークシャーの存在を知った友人が次にする質問はこうです。


「それってアメリカの会社っていうことだよね?」


「アメリカの会社の株って日本で買えるの?」


買えます。資本のグローバリゼーションは我々個人投資家にも恩恵をもたらしています。今はネットでアメリカの企業の株式が買える時代です。


「いくらくらいかかんの?」


「最低単元株数とかあるよね?けっこう買うのハードル高そう」


なんと、1万6千円から買えます(※2016年5月11日のClass B終値ベース)。このくらいの余裕資金は大学生でも持っているでしょう。もちろん、もっと買いたい人は買っても構いません。


こんなやりとりをして、実際に株主になった友人もいます。


こんな経験もあり、今回から2回にわけて、バークシャー・ハサウェイ社の株の購入方法と購入にあたって注意すべき事項について説明したいと思います。第1回目の今回はバークシャー・ハサウェイ社の株の購入方法です。


まず、何を買うのか、という点から説明したいと思います。


バークシャー・ハサウェイ社はClass AとClass Bの2種類の株式を発行しています。日本のネット証券で売買出来るのはClass Bです。Class Aの株価は1株で2,300万円以上と非常に高価なもので、主に機関投資家が保有・売買しています。一方、Class Bの株価はClass Aの1/1500程度となっています。以下にClass AとClass Bの違いを挙げてみました。


               (単位:US$/株、株価は2016年5月11日の終値)


Class Aの株価US$214,468/株を1500で割るとUS$142.98/株となりますが、実際にはUS$142.87/株と約0.1%のディスカウントになっているのはClass Aの議決権が相対的に多かったり、Class Bへの転換が認められていたりと柔軟性がある為でしょう。


実はバークシャーは元々Class Aしか発行していませんでした。時が経つにつれて株価が上昇していき、Class Aの株価は次第に一般の個人投資家が手を出せる域を超える様になりました。これをチャンスと見た証券会社は、Class Aのミニ株を作り、その販売で手数料を得るというビジネスを始めました。一般投資家が証券会社の食い物にされていることに憤ったバフェットは、証券会社がバークシャーの株で儲けているのはけしからん、それならば自らミニ株を発行しよう!と思い立ち、Class Bを発行したという経緯があります。まさにClass Bは個人投資家向けの株なのです。


次に、どうやって買うか、です。日本のネット証券でバークシャー株を取り扱っているのは3社です(2016年5月12日現在)。以下にバークシャーのClass B株を購入可能なネット証券会社と取引開始日、手数料の一覧を載せました。


各社のバークシャー関連の説明ページは以下の通りです。


米国株 ウォーレン・バフェットを、知る。/マネックス証券
SBI証券(旧SBIイー・トレード証券)-オンライントレードで株式・投資信託・債券を-
楽天証券 | 【米国株式】バークシャー ハサウェイ クラスB株取扱開始!


やはり米国株に力を入れているマネックス証券が最も早くバークシャーの取り扱いを始めていますね。しかも上限手数料がUS$20と最も安いのはさすがですね。


ちなみに私がバークシャー株を購入したときにはSBI証券・楽天証券はまだ取り扱っていなかったので、必然とマネックス証券経由で購入しました。ただ、バークシャーを購入して以来、一度も売却せず保有しており、今後も手放す予定はないので自分は何とネット証券会社泣かせな投資家なのだろうと思っています笑。ここで宣伝しているので許して下さい、松本さん(マネックス社長)笑。


さて、これでバークシャーの株の買い方がわかりましたね。


次回はバークシャー株購入にあたっての注意をバフェット自らが投資家に説明した話をご紹介したいと思います。







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バフェットの名言の行間を読む②「借金は純資産の1/4まで」

「バフェットは借金が大嫌い」


こんなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?彼自身が質素な生活をしていたり、貯金を若者に勧めたりということもあり、この様なイメージを持たれるに至っているのでしょう。


ただ、実際のバフェットは借金をハナから否定している訳ではありません。


「手持ちの25%以上のお金を借りて使ったことはない。1万ドルしか持っていないのに100万ドルがあったらいいなと思うようなアイデアが浮かんだ時もそうだった」


バフェットの格言です。手持ちのお金、つまり、会社でいえば純資産の1/4までは借金をしてもよい、と言っています。家庭でいえば、貯金が1,000万円あるのであれば250万円までは借金が許されるということですね。


では、バフェットは自身の言葉通り、自身が経営するバークシャーの借金を1/4以下に抑えているのでしょうか?


以下の通り2007~2015年の長期有利子負債(Long-term debt)と純資産(Total equity)をプロットしてみました。


(gurufocusより筆者作成・単位:US$百万)


リーマン・ショックに見舞われた2008年こそ純資産は減少していますが、それ以降は順調に増加しており、2015年には2008年の約2.5倍に達しています。一方、長期有利子負債も順調に増加しています。


ここで純資産と有利子負債の比率を見てみたいと思います。バフェットの格言通りなら、純資産の1/4以下に有利子負債は抑えられてるはずですね。


右軸で表されるDebt to Equityは有利子負債÷純資産で算出した数字です。つまり、バフェットの格言通りであれば、0.25以下の水準となるはずですが、平均すると0.33の水準で推移しています。


あれれ?1/4以下どこいった?という声が聞こえてきそうですが、バークシャーの買収の歴史を辿ると、0.33(つまり1/3)でも規律が保たれていると言えそうです。


下の図の通り、バークシャーは2010年にBNSF(鉄道事業)、2013年にHeinz(ケチャップの製造・販売)を買収しました。



鉄道事業は元来、長期での固定負債が多い傾向にあります。BNSFの2008年のAnnual Reportを見ると長期有利子負債 (社債含む)がUS$9,555百万ありました。これをまるごと買収したので、買収が完了した2010年の長期有利子負債は膨らんでいます。


また、Heinzの案件はブラジルのPEファンド "3G Capital"と組んで、投資先のキャッシュフローを担保に買収するLBOという手法を用いたものでした。つまり、借金で行った買収なので、2013年の有利子負債も膨らんでいます。


また、2016年1QにはPCP(航空機等の部品製造・販売)の買収が完了したと同時に、この取引の為に約U$10,000百万の社債を発行したので、これまた長期有利子負債が膨らむことが予想されます。


有利子負債を増やし続けるバークシャーですが、3年毎に大型買収を成功させているにも関わらず、純資産に対する有利子負債の比率を1/3程度に維持してきている、という言い方が正しそうです。これはバークシャーが保有する事業が優良でキャッシュを順調に生み、純資産を増加させているから証でもあります。


借金をハナから否定するのではなく、上手く活用する術をバフェットから学んでいる気がします。


ただ、バフェットの格言「手持ちの25%以上のお金を借りて使ったことはない。」は"25%以上"ではなく、"33%以上"と訂正した方が聞いている人たちの納得度は増すのではないかと思えた実証でした。笑














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バフェットの日本への投資①「日経平均プットオプション」

バフェットはROEが高い企業への投資が大好きです。Annual Reportの中で買収基準にも挙げているくらいです。


こういった観点では日本にはバフェットのお眼鏡に叶う企業は多くありません。(詳しくは、バフェットの典型的銘柄であるコカコーラと某日本企業の比較をした"バフェットとROE①コカコーラ"を参照下さい。http://paradox.muragon.com/entry/13.html)


では、バフェットは日本に投資していないのでしょうか?


いいえ、しています。以下、2008年のAnnual Reportからの抜粋です。


Qte
Our put contracts total $37.1 billion (at current exchange rates) and are spread among four major indices: the S&P 500 in the U.S., the FTSE 100 in the U.K., the Euro Stoxx 50 in Europe, and the Nikkei 225 in Japan. Our first contract comes due on September 9, 2019 and our last on January 24, 2028. We have received premiums of $4.9 billion, money we have invested. We, meanwhile, have paid nothing, since all expiration dates are far in the future. Nonetheless, we have used BlackScholes valuation methods to record a yearend liability of $10 billion, an amount that will change on every reporting date. The two financial items – this estimated loss of $10 billion minus the $4.9 billion in premiums we have received – means that we have so far reported a mark-to-market loss of $5.1 billion from these contracts.
Unqte


"Nikkei 225"と記載がありますね。実はバークシャーは日経平均のプットオプションを売っています。これはどういうことなのでしょうか?


プットオプションとは"20XX年XX月にXX円で売る権利"のことで、これを売るということは、この権利を売ってプレミアムを受け取ると同時に、買い手が20XX年XX月にこの権利を行使した場合に応じる義務を負うこととなります。


詳しくは以下、SBI証券がオプション取引の具体例を説明しているので、"プットの売り"の"満期を迎えた場合"を参照下さい。(SBIさん、わかりやすい説明を有難うございます笑)


https://www.sbisec.co.jp/ETGate/WPLETmgR001Control?OutSide=on&getFlg=on&burl=search_op&cat1=op&cat2=guide&dir=guide&file=op_guide_13.html#04



簡単に言うと、日経平均のプットオプションを売ったということは、SQ価格を下回った場合にはバークシャーが下回った分を支払わなければならず、日経平均がSQ価格を上回ると踏んでいなければ、バフェットはこの取引をしないことを意味します。つまり、2019年~2028年の間は、2008年に締結したオプションの行使価格を上回るだろうとバフェットが見込んでいるということです。この行使価格がいくらであるかは公表されていませんが、単純化して考えると2008年の価格に近いと考えられます。


個別企業への投資は避けているバフェットですが、日本全体の経済の先行きを示す日経平均に対しては強気の姿勢です。


どの個別企業に投資したらいいのか悩んでいる方は、バフェットと同じく日経平均のオプション戦略を採ることも選択肢に加えたらいかがでしょうか?







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