ウォーレン・バフェット ウォッチャー

"投資の神様"と名高いウォーレン・バフェット氏をウォッチするブログ。同氏がCEOを務めるバークシャー・ハサウェイ社の動向と関連する情報をフォローする。

バークシャーが配当を支払うとき ~現金10兆円の行方~

8月4日(金)にウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイ社が2017年2Q(4-6月期)の決算を発表しました。鉄道・エネルギー事業が好調だった一方、保険部門での損失が膨らみ、営業利益が前年同期比11%減の41億2000万ドルと市場予想を下回る結果となりました。


損益も然ることながら、今回注目を集めたのはバークシャーの現金及び同等物の額です。同社は過去50年近くにわたって配当を避ける一方、収益力の高い企業を買収を進め、株価が低迷したときにだけ自社株買いをすることで内部留保(≒現金及び同等物)を積み上げてきました。その結果、今回の決算(2017年6月末時点)でその額が997億ドルと10兆円を超える大台にまで到達しました。

2014年のannual reportの中で、バフェットはバークシャーの現金の使い道に対する考え方について以下の通り発言しています。(詳細はバークシャーが配当を支払うとき - ウォーレン・バフェット ウォッチャー参照)


「おそらく10~12年後(※2024~2026年頃)には、経営陣が利益を賢明に再投資出来なくなる水準まで、バークシャーの利益や現金が到達するでしょう。その時には、当社の経営陣は利益を配分する最善の手段は配当か自社株買いか、若しくはその両方か、を決定する必要に迫られます。バークシャー株が本質的価値を下回る金額で売買されていた場合、大量に自社株を買い戻すことこそが最善の選択です。」


この発言から、バフェットの現金の使い道が①(企業・株式・債権等への)再投資、②配当 and/or 自社株買いの順番で考えられていることが伺えます。また、バークシャーは2012年以来、自社株買いの条件を"株価が純資産の120%以下となったとき"としてきました。(詳細はバークシャー・ハサウェイ社は買いか? - ウォーレン・バフェット ウォッチャー参照)それ以外のときには配当を考えると理解してよいでしょう。


それでは、現在の市場の状況を見て、バークシャーの現金の使い道はどの選択肢が当てはまるのか、考えていきましょう。


まずは①(企業・株式・債権等への)再投資です。市場全体が割安かどうかを考える際によく用いられるのが、『バフェット指標』と呼ばれる「上場株式の時価総額÷GDP」の計算式です。100%を上回ると割高、100%を下回ると割安と判断します。2017年8月の現時点では、131.8%と2000年のITバブルに次ぐ高水準となっており、市場全体が割高な状態に置かれています。個別株や他の国の事情は一概に割高とは言えないので、この指標だけを見て「①の選択肢は有り得ない」とは断言出来ませんが、投資の神様であるバフェットといえど、容易に割安な投資対象を発見することが出来ない状態に市場があるのは間違いないでしょう。



では、②の自社株買いはどうでしょう。バークシャーの株価が"純資産の120%"を下回っていることが条件でした。以下のリンクで確認出来る通り、2017年8月10日時点で145.3%と大幅に120%を上回っており、バークシャーの株価が自社株買いに足るほど、割安だと言えない状況にあります。


Berkshire Hathaway Price to Book Value (BRK.A)


こうなると、残された現金の使い道は②の配当しかなくなります。バフェットはかつてバークシャーに最低限必要な現金として、『200億ドル』と発言したことがあります。大型のハリケーンなどが発生して、バークシャーの保険事業が多額の保険金を求償された場合に備える為に必要な額だそうです。裏を返すと、バークシャーには現時点で800億ドル(=1,000億ドル-200億ドル)もの配当余力があることになります。


上述した通り、バフェットはバークシャーが配当を迫られることになると見込まれる時期を2024~2026年頃と予測していました。また、2017年5月に開催された年次株主総会では数年以内に配当を開始する可能性を示唆したと言われていますが、順調に現金を生み続けるバークシャーの事業と好調な市場に挟まれている現状では、Xデーは意外とすぐそこなのかもしれません。


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