ウォーレン・バフェット ウォッチャー

"投資の神様"と名高いウォーレン・バフェット氏をウォッチするブログ。同氏がCEOを務めるバークシャー・ハサウェイ社の動向と関連する情報をフォローする。

バフェット vs イーロン・マスク

ウォーレン・バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイは傘下にバークシャー・ハサウェイ・エナジーという会社を持っています。同社はアメリカを中心に太陽光・風力といった再生可能エネルギーに多額の投資をしています(詳細はバフェットと再生可能エネルギー - ウォーレン・バフェット ウォッチャー参照)。特に太陽光発電事業では、アメリカでも3本の指に入るほどの大規模な設備を保有しているという特徴があります。


一方、テスラ(電気自動車)・スペースX(宇宙ロケット開発)といった先進的な企業を率いるイーロン・マスクですが、テスラの傘下にあるソーラーシティという会社を経営しています。同社は家庭の屋根での太陽光発電を可能にするルーフトップ・ソーラーや蓄電池を販売しています。


実はバフェットが推進する大規模な太陽光発電とイーロン・マスクの小規模発電は過去にアメリカ・ネバダ州で対立したことがあります。


対立の構図を理解する為には、アメリカの殆どの州で採用されている「ネット・メータリング」制度を知る必要があります。同制度では、各家庭の電気消費量から売電量が差し引かれ、その差額だけを使用料として電気料金が電力会社から請求されます。例えば、毎月500kWhの電気を電力会社から購入・消費している家庭が、同じ500kWhの電気を発電・売電していると、電気料金の請求額がゼロになります。小規模太陽光発電の普及を後押しする制度として採用され、ソーラーシティもこの制度に乗っかり、家庭への太陽光発電設備の販売を拡大してきました。


ところが、この「ネット・メータリング」制度には、欠陥と思われる点がありました。各家庭と小規模太陽光発電設備を保有する家庭の間では、電力会社の送電線を利用して電気の売買が行われますが、同制度では、その様な家庭が送電線の維持補修費を負担せず、太陽光発電を行っていない家庭に負担させる内容になっていたのです。


2014年、バークシャー・ハサウェイ・エナジーは、「ネット・メータリング」制度が小規模太陽光発電設備を不公平に優遇する制度であるとして、ネバダ州で同制度の見直しを求めました。見直し賛成派・反対派の激しい応酬の末、同制度は段階的に小規模太陽光発電設備保有者が支払う基本料金が引き上げられ、買取価格は引き下げされる等、見直し賛成派の意見が大きく反映される結果となりました。


これにより、イーロン・マスクのソーラーシティは事業縮小を余儀なくされた一方、バフェットのバークシャー・ハサウェイ・エナジーは競争優位性を保つことが出来るという結果になりました。


これ以降、「ネット・メータリング」制度見直しの動きは全米に広がりを見せています。これからも、バフェットとイーロン・マスクの対立に目が離せません。

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