ウォーレン・バフェット ウォッチャー

"投資の神様"と名高いウォーレン・バフェット氏をウォッチするブログ。同氏がCEOを務めるバークシャー・ハサウェイ社の動向と関連する情報をフォローする。

バフェットとコカコーラ②

バフェットは1988年に当時のバークシャーの全財産の1/4を使ってコカコーラの株式を取得しました。既にコカコーラは収益力と成長を織り込んだ株価となっており、周囲はバフェットが高値掴みをしたと思った様です。


ところが、その後、コカコーラはドナルド・キーオという優秀な経営者に率いられたことも相俟って、1990年代を通して黄金時代を築き、株価はうなぎ登りとなったのです。


では、現在、そして今後のコカコーラはどの様に発展していくのか、考えたいと思います。


2014年のAnnual Reportを参照すると、世界中で28,600百万ケースを販売したことがわかります。「コカコーラ製品が売られていない国は社会主義国家のキューバと北朝鮮だけ」と言われ、その2カ国でも非公式にコカコーラ製品が店頭に並んでいることを考えると、2014年末時点での世界の全人口7,261百万人が顧客だったといっても過言ではないでしょう。


2030年のコカコーラ製品の販売数量(≒売上)を世界の①人口増加、②GDP成長、③清涼飲料水の消費量増加にわけて推測したいと思います。


世界の人口は2014年の7,261百万人から2030年には8,501百万人と約17%増加することが見込まれています。コカコーラ製品は店頭で販売されようと、自動販売機が販売されようと、最終消費者は人なので、人口増加はそのままコカコーラにとってプラス要因となるはずです。


次にGDP成長です。新興国の成長をメインドライバーとして、世界のGDPは2014年対比で約2倍となることが予想されています。これに併せてコカコーラの値段も上がり、その結果、売上も2倍となるでしょう。


最後は一人当たりの消費量増加です。砂糖への課税、飲料の多様化等、昨今のコカコーラを取り巻く環境は消費量増加に追い風とは言い難いものがありますが、一方でこれまで販売してきた製品に対する消費者のロイヤルティに加え、コカコーラ自身が時代が求める飲料を提供するであろう点を考慮すると、やはり消費量は増加する可能性が高いと見ることが自然なのではないかと思います。


2014年のコカコーラ製品の国別消費量は、メキシコが27.8ケース/人と世界で突出して高く、最低はインドの0.6ケース/人でしたが、世界平均は7.8ケース/人でした(ちなみに日本は7.9ケース/人と略世界平均)。2030年に人口が多い中国・インドを含む世界の全ての人が等しく年間7.8ケース/人を消費すると仮定すると、消費量はこれまた約2倍になると考えられます。


以上を図示すると、以下の通りです。


(単位:百万ケース)

この計算に基づくと、コカコーラ製品の消費量(≒売上)は2030年に2014年の4.65倍となります。実際には消費量がここまで伸びるのか、コカコーラが現在の強固なブランド力を維持出来るのか等の課題はあります。


仮に現在の株価と上記のコカコーラ製品の消費量が比例した場合、2030年の株価は2014年の4.65倍。これは年平均+10.1%の成長を16年間続けることに匹敵します。


S&P 500の過去50年間の年平均は+9.7%でしたので、これを上回る成長をコカコーラには見込めることとなります。


現在でも株価はPER27倍程度と決して安くありませんが、バフェットがコカコーラを手放さないのも上記の様な見通しがあるからなのかもしれません。



鉄道事業とバフェット

米国内の鉄道輸送量(主に石炭輸送)が減少しているという記事がありました。バークシャーが保有する鉄道事業であるBurlington Northern Santa Fe(BNSF)にはどの様な影響があるのでしょうか。


http://finance.yahoo.com/news/double-digit-fall-intermodal-rail-205128643.html


BNSFは米国内の鉄道輸送量の17%を占めます。更に、バークシャーの利益の約2割を占めており、BNSFの売上・利益の約2割は石炭輸送から成っています。つまり、バークシャーの利益の4%程度が直接的に影響を受けることになります。


石炭輸送減少は、中国経済減速→石油価格下落→石炭価格下落→高コスト炭鉱の閉鎖→石炭輸送量低下という流れが背景にあるものと推測出来ます。つまり中国経済の動向にBNSFは左右されていると言えるでしょう。


バークシャーの資産(Balance sheet)の大半は米国内にありますが、利益(Profit & Loss)は間接的に中国の動向に左右されており、グローバルな企業であることをつくづく感じさせられますね。




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バークシャーの競争相手は誰か?

BuffettはPrivate Equity(PE)の手法を短期的視野でしか物事を考えず、(その結果)ハイレバレッジで企業買収をし、価値を毀損させているとしてしばしば批判します。


https://www.quora.com/Is-Berkshire-Hathaway-a-private-equity-firm-If-not-what-would-you-call-it-and-what-are-da-differences-between-its-way-and-PE-firms


Buffettは何故PEを批判するのでしょう。それはBuffettがPEをBerkshireのcompetitorと看做しており、PEとの差別化を図らなければならないから、と考えると辻褄が合います。


近年、上場企業への株式投資から大企業のM&A・非公開化に舵を切っているBerkshireにとって、PEは同じ手法を採る競争相手になります。更に、buy&holdのみで投資先企業の原則経営陣に口も手も出さないBerkshireに対して、PEは投資先企業の価値向上策を持ちながら買収する為、Cash Flowをひく際の前提が同じであればPEは高い価格をoffer出来ます。


被投資先、若しくは既存株主は通常であれば高い価格をofferするPEを受け入れなければなりません。Berkshireは価格以外の何かで既存投資家に対して理由付けをしなければPEに買い負ける、若しくはPEより高い価格を支払わなければならなくなります。その理由付けとして、買収先に手を出さない(現経営陣を引き継ぐ)、長期に亘って保有するということを挙げていると考えられます。


BerkshireがPEを批判しているのはその手法でなく、本質的にはcompetitorとの差別化を図る為なのです。




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